眠らぬ姫に不正解な祝福を。


呪いがかかっているこの間に運命の王子や、騎士が私の元にやってきて、私から呪いを解放するかもしれない。


そう言ったのはイスター、あなたじゃない。


だけど王子やら騎士なんかは一回もここに来ることはなく、その上この塔を取り囲む深い森でさ迷っているのかいつも誰かの悲鳴や叫び声がこだまして聞こえてきていた。


今日も誰もこない、来るわけない。


それが当たり前の日々だった。


でも、そもそもが呪いがかかっていないとなると、なんで私をここに閉じ込めて……?



「混乱してますよね……すみません」


「イスターなんで、私をここに連れてきたの……?」



抱きしめられている腕を解いて、私はイスターの顔をしっかりと見つめた。


そんな私をイスターは愛おしそうに見つめて、髪を撫でていく。



「あなたを誰かに奪われたくなかった。それだけです」


「奪われるも何も、本当は死ぬ運命だったのよ?魔法はかからないかもしれないけど、どこかで刺されたり、毒盛られたりしてたかもしれないし」


「それを分かっていたから尚更ですよ。


……誰かの手にかけられてこんな大切な物を壊されてたまるか」



怒った声でそう言いながらも、また私の唇を奪うイスターに私は涙が滲む。


不正解ばかりで、幸せになれないと思っていた私の世界は狭いけど幸せがちゃんとたくさんつまっている。




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