眠らぬ姫に不正解な祝福を。
誕生日の祝福を受けて、少し胸が苦しくなって部屋の隅で蹲っている私に手を差し伸べて私に呪いを授ける、と少しだけ戸惑いながらそう言った。
そして20歳の誕生日までこの呪いが解けるまで塔の中にいないと死んでしまうからと、私をここへ連れてきた。
「本来、来るべきだったあなたの師匠のーー黒の魔女を説得してあなたが来たんでしょ?」
「いいえ。ただ仕事を任されただけです」
「それも嘘。私にかけられた祝福という呪いを全て解きたいが故に来たくせに」
「……」
イスターは黙り込み窓の前で動きを止めた。
わかりやすい人だと思いながら、私はバレないように口角を上に上げた。
だけどそんな彼の仕草は嫌いじゃない。
あの日、そう誕生日の前日。
私は父の書斎で聞いてしまったのだ。