眠らぬ姫に不正解な祝福を。
『あの娘がいると王位継承者が混乱する。
可愛い我が息子のために……
魔女達に依頼してあの娘に呪いをかけーー殺せ』
おとぎ話の魔法は全部優しくて幸せなものばかりだと言うのに現実はそう甘くはないと知り、正解を選べばきっと私は愛されるのではないかと日々努力してきたけれど……
それは儚く散った。
私は愛されることなく終わるんだと。
ショックだったけど不思議と涙は出てこなかったのは、最初から何かを薄々感じていた、子供の頃の唯一持っていた偽物の素直さのせいだったのだろうか。
「あなたは私を殺すふりをして他の魔女にかけられた私を殺すための魔法を解いて、そして催眠作用のある軽く寝ちゃうような優しい魔法をかけて、ここへ連れてきた」
「いつからそんな推理がお好きになったんですか?」
「する事がないから始めてみたの。どう、違う?」
「不正解」
「あら、どこが違うっていうの?」
挑発するようにそう問いかけると、イスターはくるりと向きを変えて私との距離を縮めて来た。