強気なサッカー選手の幼馴染みが、溺愛旦那様になりました。(番外編)


 いつもはそれで終わっていたのに、今は違っていた。何故か焦ってしまっていた。
 けれどそれさえも見越していたのか、秋文は千春の手を掴んだ。


 「秋文?」
 「今日はもうおしまい。寝るぞ。」
 「え!?でも、明日の朝の仕込みとか、洗濯物も畳まなきゃいけないし。」
 「そんなの明日でいい。それに、明日の朝食なんて食えればいいよ。1日違うもの食べたからって、違わないんだ。」
 「そんな……。」

 
 リビングで、これからの献立をいろいろ考えていた千春は、秋文に手を引かれるままに、ずるずると寝室へと運ばれてしまった。 


 「まだ22時だよ?」
 「ダメだ。俺から逃げたら怒るからな。」


 秋文はそういうと、千春を抱き上げてベットに横にして寝かせた。
 そして、部屋の電気を消すと、自分もベットに入り、逃がさないと言わんばかりに、正面からギュッと千春を抱きしめたのだ。


 「とりあえず、今日は休め。……千春、お願いだ。」
 「…………わかった。ありがとう、秋文。」


 彼の切な言葉を聞いてしまうと、千春はもう断ることは出来なかった。

 秋文にそんなにも心配させてしまった。

 そう、反省し彼の胸に顔を寄せて目を閉じながらも、「明日は少し早く起きて……準備しないと。」という事ばかり頭で考えていた。



< 23 / 96 >

この作品をシェア

pagetop