強気なサッカー選手の幼馴染みが、溺愛旦那様になりました。(番外編)
「秋文?」
「なんだ………っ………。」
千春は、秋文に小さくキスをする。
少し恥ずかしかったけれど、彼の顔に近づいたまま、真剣な表情で見つめた。
「秋文がサッカーとか仕事がなくなるかもしれないのに、私の事守ろうとしてくれたの、嬉しかった。」
「おまえ、そんな詳しく知ってるのか………。」
「………私、迷いすぎてたんだと思う。秋文にふさわしい奥さんって何だろうって。秋文をサポート出来る人なのか、仕事と家事を両立出来る人なのか、家事をして毎日出迎えられる人なのか。全てやろうと思ったら、やっぱり出来なかった。」
千春は悔しそうにしながらも、自分のしてきた事を笑いながら思い出した。本当に無茶ばかりしてきたし、秋文に心配ばかりかけてしまっていたな、と実感出来る。
「まだ正解はわからないけど、少しずつ秋文にも自分にも合った方法を探していくね。だから、また無理しそうなときは止めてほしいな。」
「あぁ、もちろんだ。」
「……秋文の自慢の奥さんになれているのか不安になってたけど、今日の事聞いて、秋文が私の事大好きなんだって、わかったよ。」
あっけらかんと笑うと、秋文もつられて微笑んだ。
「やっとわかったか?俺はずっと千春が大好きなんだよ。」
「うん。知ってる。私も秋文が好き。」
「知ってる………。だから、キス全然足りない。」
「私ももっとしたいと思ってた。」
クスクスと笑い合いながら、目を瞑ってお互いの唇の感触に酔いしれていた。
千春は愛しい旦那様の深い愛を感じながら、「せっかくの豪華な夕飯が冷めてしまう。」と頭の隅でそんな事を思った。
けれと、秋文を求める気持ちが強くなり、自分から秋文の頭を腕をまわしてキスを求める頃には、夕飯の事などすっかり忘れてしまうのであった。