強気なサッカー選手の幼馴染みが、溺愛旦那様になりました。(番外編)
「ねぇ、出。………私に考えがあるんだけど。最後なら、少し思いきったことしてみた方がいいんじゃないかな?」
「そうか……?」
「出は、こんなに長い間片想いをしていたんなら、結婚して一緒になりたいって夢見る相手はやっぱり立夏でしょ?」
「…………そう、だな。」
千春は、自分の気持ちを伝えた。
千春が気づかないだけで、秋文は長い間自分を思ってくれていた。告白された時は、「付き合えるかなんてわからない。」と、秋文と恋人になるなんて考えられなかった。
けれど、今となっては秋文は何よりも大切な人になっている。
立夏ももしかしたら、そうかもしれない。
だから、立夏が千春に言ったように「付き合ってみるのもいいんじゃない?」も、千春も思っていたのだ。
「少し作戦を考えて、立夏に本気で出の気持ちを考えてもらおう。きっと、立夏の心も揺らぐんじゃないかな。」
「………千春、ありがとう。やってみるよ。」
いつもの優しい笑みに、少し照れた顔。
出は自分の恋愛に対しては消極的だし、話す事も少ない。
けれど、千春と秋文がすれ違っていた時、何度も助けてくれたのだ。
今度は、出の役に立ちたい。千春は、どんどんとやる気が出てきた。
「よし!じゃあ、立夏がお風呂から上がる前に、決めちゃいますか!」
「あぁ、よろしく頼む。」
「……勝手にやっててくれ。俺は酒でも飲んでるから。」
「もう、秋文っ!」
そんな事を言っても、やはり幼馴染みの恋の行方が心配なのか話には入らなくても、千春と出の話を聞いている旦那様を横目で見て、千春ら微笑んでしまう。
立夏には悪いけれど、少しだけ内緒の話しをした。
千春は、出と立夏がてを繋いで歩く背中を想像するだけで、笑顔がこぼれてきたのだった。