強気なサッカー選手の幼馴染みが、溺愛旦那様になりました。(番外編)
「立夏は秋文に告白されて迷っていた時に、私に言ってくれたよね。」
「…………。」
「「素の自分を見てくれて、「好き。」って言ってくれる人って、なかなかいないと思うよ。」って。私も、そう、思う。」
「…………千春。」
「立夏、出の事、少し考えて見てあげて?………きっと、出はまだ立夏の事を見ていてくれているはずだから。」
千春は、そう言ってぎゅっと力を込めて立夏の手を握る。
立夏は、それからしばらくは無言のまま遠くを見つめていた。
★★★
千春と秋文と、作戦会議をした時。
出は若干の不安を覚えていた。
千春が考えた作戦というのは、単純なものだった。
出と女の子がデートをしている写真を見せてみるという物だった。
立夏が少しでも出に、気があるのならばきっと動揺するだろう、という考えだ。
それで、もし「お似合いだねー。よかったじゃん!」で、終わってしまう可能性もある。けれど、この結果だったら出が告白しても、受けてはくれないだろう、という考えだった。
千春が、それとなく出が最後に告白するらしい、という事を伝えて、立夏がどんな感情を覚えるか。
告白される事が当たり前で、されなくなると考えたらどう思うのか。
そうやって、立夏に出の事を考える時間を与えよう、というのが今回の作戦だったようだ。
「けれど、これは立夏に嘘をついたことになるんだよな。」
出は、自室でひとり呟き、ため息をついた。