強気なサッカー選手の幼馴染みが、溺愛旦那様になりました。(番外編)



 悩んでいる時間はあっという間だった。
 何も解決も出来ず、自分の気持ちの整理も出来ないまま、立夏の誕生日がやってきてしまった。
 仕事だったら気が紛れたものの、少し前まで彼氏がいたこともあり、誕生日当日は休みにしてしまっていた。


 「はぁー……1日、何して過ごそう。」


 言葉ではそんな事を言っていても、いつスマホが鳴るのか、チャイムがなるのか。
 立夏は1日中ドキドキしていた。

 早くこの緊張状態から解放されたい気持ちもあったけれど、もし出がきて、いつものように告白をされても、何て答えればいいのかわからなかった。
 この場から逃げ出してしまいたくもなったけれど、出が来たときにどんな気持ちになるだろうと考えるだけで、立夏は切なくなってしまうので出来るはずがなかった。


 そうやって、ソワソワしながら過ごしているうちに、お昼になり、夕方になり、そして辺りは闇に包まれ、夜になってしまった。


 立夏は、ベットに体育座りになって足を抱きしめるように座りながら顔を伏せていた。

 もう少しで誕生日が終わってしまう。

 あと少しで出が来なかったら、もう立夏に告白するのを止めたという事だ。


 きっと、今ごろはあの写真の女の子と一緒に過ごしているのだろう。可愛らしくて、女の子らしい、立夏とは全くタイプの違うあの女の子と。
 あんな子に好意を持たれたら誰でもドキドキしてしまうだろう。きっと、出もそうなのだ。


 「私と全然違うタイプの子なのに……私は、もうイヤなのかな。まぁ、そうだよね、何回も告白断られて嬉しい人なんて、いないよね。」


 毎年見る、切ない顔で微笑みながら去っていく出。その表情と背中を見ることが出来なくて、立夏はすぐに逃げてしまっていた。


 「……告白しなくていいから……誕生日に出に会いたいよ……。そして、今までのこと謝らせてよ。」


 本当にイヤだったら、きっぱりと断ればよかった。それを出来なかったのは甘えだ。
 立夏はずるずると昔の恋を引きずったままここまで来てしまった。それを諦めるまで、彼はずっと側にいてくれる。そんな風に無意識に思っていたのかもしれない。

 だから、本気じゃない恋愛を続けていた。
 この人とは合わないと、わかっていても付き合ってしまっていた。

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