強気なサッカー選手の幼馴染みが、溺愛旦那様になりました。(番外編)
「千春さん。」
「はい。」
「秋文くんは、きっと全てが1番よくまとまる解決方法で、この問題を終わりにするような気がするのです。違うのならいい。……けれど、彼自身がどうしたのか。それを、聞けるのはあなただけのような気がします。」
「東さん……今回の問題は私が原因な部分が大きいのです。それでも、彼は私に話してくれるでしょうか?」
彼が千春を思っているからこそ、自分の気持ちを隠してしまうのを知っている。
だからこそ、不安で仕方がなかった。
彼がサッカーを諦めてしまうことを。
「あなただから出来るですよ。」
「そうよ!秋文くんは、あなたにベタ惚れなんだから。あなたがどうしてほしいのか、しっかりと伝えた方がいいわ。」
「………はい。」
助手席に座っていた美和子は、後ろを向いてニッコリと微笑む。そして、東もバックミラー越しに千春を見て、優しく微笑んでいた。
秋文には、こんなに助けてくれる人たちが沢山いる。報道を見ても、信じてくれる人がいるのだ。
千春はそれをやっと気づくことが出来た。
千春は、自分の両手を強く握りしめて、気持ちを強くもっていけるように、力を込めた。
「私、秋文と話してみます。これからの残りのサッカー人生について。」
もう決して俯かずに、千春はまっすぐ前を見つめた。
昨日の夜は、真下にみえた小さな光。
今は、そのひとつひとつが目の前にある。
キラキラ光るものの中が、すべて敵ではないのだ。みんな秋文の考えを知りたいのだ。
そう思ったとき、千春の悲しい気持ちはいつの間にか消えていた。
まるで、闇が沢山の光りを浴びて、消えていってしまったようだった。