強気なサッカー選手の幼馴染みが、溺愛旦那様になりました。(番外編)
「もう、だから笑わないでよ。」
「いや、俺の奥様はたくましくてかっこいいなと思って。」
「……それ、言われても嬉しくないよ。」
「俺は嬉しかったよ。そうだよな、家族なったんだよな。………少し足掻いてもいいか?」
「……うん。」
彼の言葉を聞いて、千春は笑顔で頷いた。
彼がまた「責任はとらない。日本代表も辞めない。」と、言ったらきっとメディアで騒がれる事だろう。
けれど、千春はもう怖くなかった。
何を聞かれても、「秋文を信じています。最後まで応援するだけです。」と言えばいいだけだと、千春はわかったのだ。
彼の夢を最後まで応援するのが、千春の願いだ。
もう、千春も秋文も迷わないと決めた。
そして、騒ぎにも負けないと。
「責任は、試合に勝利して返すさ。」
「……うん。それが、1番かっこいいとおもうよ。」
「………ありがとう、千春。」
秋文は優しく微笑むと、ゆっくりと千春に顔を近づけた。
けれども、千春はそれを手で防いでしまう。
「………なんだよ。キスさせてくれないのか?」
「これでも怒ってるんだよ?諦めようとしたこと、嫌だったんだから。」
「だから、明日また説得してくるさ。」
「じゃあ、明日までキスもだめ!」
千春は、くるりと秋文と反対側を向いてしまう。すると、後ろから抱き寄せられて、「折角、こんな部屋に泊まってるのに、何もしないのか?」と、色気のある声で耳元で囁いてくる。
耳は千春が弱い部分だと知ってわざとやっているのだ。
千春は顔を真っ赤にしながらも、彼の甘い誘惑に耐えるようにベットに横になっていた体を起こした。
「今からお風呂に入ってくるよ。こんな豪華なお風呂に入れるなんて嬉しいな~。」
「俺も入ろうか?」
「だめ!」
千春がスタスタとお風呂場を探しに行くと、後ろから彼の笑い声が聞こえていて、千春もおもわず微笑んでしまう。
秋文なら大丈夫。
信じているからこそ、こうやって笑えるのだと、千春は笑顔になりながらそう思った。