偽りの甘い罠
余韻に浸ってると、そのひとときを壊すように
私の携帯が鳴り出す

ベッドの脇に備え付けてあるソファに置いたバッグ
から、いつまでも鳴り止まない着信音がこだまする

電源を切れば良かったと今更後悔した

「紗英、出たほうがいいんじゃない?仕事なら大変
だから。」
「でも、、、こんな時間に仕事の電話来ます?」
「分かんない。念のため出な?」

優しく促されて仕方なく足下のバスローブを
手繰り寄せて羽織った

着信相手は天敵の青柳

出たくない。仕事なんかじゃない

きっと、今日の約束を破ったから咎められるんだ

「はぁー、、、」

溜め息をひとつ吐き出してから電話に出た




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