偽りの甘い罠
過ち
ハイボールも三杯目に突入したとき、青柳がポツリと
口を開いた

「いつからなんだ?」
「ん?、なにが?」
「名前、出せないだろ。誰が聞いてるかわかんねーし」

あぁ、雅人さんのこと

そんなの聞いてどうするんだろう、、、

「二年前よ。」
「なんで、そうなった?」
「明確なものはない。ただ、お互い何となく弱って
いたのかもしれない。引き寄せられるように、
気付いたらそうなってた」
「一度きりの過ちで済ませば良かったんじゃないのか?」
「出来なかった。ズルズルと、、、いつのまにか
好きになってたから。」
「だからって、このままで良いとは思ってないだろ?」

放置していたハイボールのジョッキは、汗をかいて
解け出した氷が二層になっていた。


< 20 / 123 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop