偽りの甘い罠
私は、この二年半何を見てきたんだろう

見抜くとも出来ない位にのめり込んでいたのか、
それとも雅人さんの芝居が神がかっていたのか、、、

どちらにせよ、私の恋に終止符が打たれたことに
変わりはない

なんて愚かなんだろう

私はどん底だ。

人間不信にでもなりそう

握りしめたままの携帯が再び鳴り出す。

恐る恐る確認すると、青柳だった

「もしもし?」

再起不能直前の状態にある私は、僅かに残った理性で
頭を動かした

「有村?どうだ、少しは休めてるか?」
「うん、まぁ、なんとかね」
「どうした?なんかあったか?」

どうしてこの男はこうも勘が働くのだろう
仕事では有利になる勘のよさも、今は憎らしいだけだ


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