偽りの甘い罠
唯一無二
だけど、雅人さんは違った

私を常に監視して、不穏な動きがあればすぐに呼ばれた

束縛はより一層激しさを増していく

一難去ってまた一難

私はいつ心底休める日が来るのだろう

そんなことを歩きながら、とりとめもなく
巡らせてると、険しい顔の雅人さんが近付いてくる

私、何した?

身体も顔もたちまち強張ってくる

「紗英、さっき話してた男は誰だ?俺に黙ってまた
他の男たぶらかすのか?」
「雅人さん、なんのこと?私はただ、お客様と話して」
「色目使って話してただろ!」
「そんなことしてません。」
「俺に口答えする気か!」

わなわなと怒りが収まらない雅人さんを、私はまるで
他人事のように傍観していた

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