偽りの甘い罠
そしてそのまま、訂正するチャンスも与えられずに
一日、そしてまた一日と過ぎていく

当然の如く、青柳は必要最低限のこと以外口にすること
はなくなった。



「紗英、どうした?最近また元気ないよ?」
「あ、ごめん、何でもないよ。」
「片意地はらないで、何でも言ってよ。」
「ありがとう、美帆。本当に大丈夫だから。」

軽々しく口に出来る内容じゃない。

悩みを打ち明けるってことは、必然的に雅人さんの
ことも言わなきゃなくなる。

この関係は誰にも知られてはいけない。

唯一知ってる青柳以外には。

それこそ、ここにいられなくなる。

不倫なんて言語道断だもの。
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