偽りの甘い罠
私は両手で握っていたジョッキに力を込めた

やるせない気持ちを隠したくて、、、

「辛かったな。ずっと一人で抱えてたんだろ?」
「え?」

ここにきて初めて目が合った

透き通るような真っ直ぐな目。
逸らすことを許してくれそうにもない。

私の頬に一滴の涙がつたった

我慢して、押し殺して、無理して笑って、、、

本当はすがりたかった。

助けてほしかった。

大丈夫だよ。辛かったね。
そう言ってほしかった。

私はずっと、、、求めていた。

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