偽りの甘い罠
今度は携帯だ

着信音が部屋中に煩く響き始めた

私は諦めて、半ば投げやりに溜め息を吐き出してから
鍵を開けた

目は異様なくらいにつり上がり、拳を握りしめ、
今にも殴りかかってきそうだった

蹴り散らすように靴を脱ぎ捨てると、ズカズカと無遠慮
に部屋へ入ってくる

「ま、雅人さん?どう、、、して?」

震える唇を噛み締めて、恐る恐る口を開いた

「見たんだぞ。お前、この部屋に他の男をいれたな!
俺も入ったことなかった、部屋に!」

何を言ってるんだと思った。

もう正常な判断はこの人には不可能なんだ

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