偽りの甘い罠
誰も来たことなんてない。

夢なのか、はたまた勝手に作り上げた幻覚でも
見たのか、、、どちらにしても、私は寮まで監視されて
ることに、恐怖心しかない

そして、今差し迫るこの状況を脱することは叶わない

つまりは、袋のネズミというわけだ

「紗英、俺には紗英だけだ」

昔ならうっとりしていた台詞も、今は虫酸が走る

だけど、抵抗することは皆無だった。

酒の効力のためか、あっという間に、私の身体は
蝕まれていった。

青柳の温もりなんて、跡形もなくなるくらいに、、、

意に反して抱かれることがこんなにも、不快で無感動
でしかない

それもお構いなしに貪り、攻め立てるこの人を前に、
私はただ傍観者になっていた

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