偽りの甘い罠
仕事中は全力で笑顔を作り、帰宅すると死んだように
なる私。

「本日ご一泊で承っております、九条様でございますね。
お待ちしておりました。」
「荷物だけお願いして、すぐ出掛けたいんだけど。」
「かしこまりました。では、こちらでお帰りまで
お預かりいたしましょうか?」
「じゃあ、それでお願い」

マニュアル通り、笑顔も忘れず、、、

だけど、今までみたいに自然には出てくれない
笑顔に苦戦を強いられてしまう。

一回ごとに吐き出す溜め息をあの男だけは、何故か
敏感に察知する

「有村、どうした?」

チェックインのドタバタな時間が終わり、ひと息ついた
私達は、短い休憩に入った

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