流星の彼女に愛の花束を
「おーい、起きてください。」
また、朔の優しい声で私は目を覚ました。
目を開けた瞬間水滴が降ってきて、
「ひゃっ。」
と首をすくめる。
「ああ、ごめん。まだ髪を乾かしてなくて。」
恐る恐る目を開けて上を見ると、朔は髪から水滴を滴らせてこっちをみていた。
「あ、朔。ありがとう。」
私が慌てて言うと、
「どういたしまして。」
と笑う。色んなことがあって、正直何に対してありがとうをいえば良いのかわからないけど、なんかちょっと満足した。
「星、あ、えっと。」
きっと星屑と言おうとしたのだろう、朔はあからさまに戸惑った顔をした。
私が新しい名前が欲しいって言ったの、覚えててくれたんだ。
嬉しくて、ちょっと期待する。もしかしたら家族になってくれるかも。
「朔、私に新しい名前つけてよ。」
「え、僕がつけて良いんですか。」
朔の目に迷いの色が生まれる。
よし、ここは押してしまえ。
「うん。だって私たち、今日から家族でしょ?」
え、と言って固まった朔に、私はえ、と言い返す。
「私ここしか、居場所がないの。」
そう言うと、朔はあっ、と困った顔をする。
「お願い、朔。」
私はそう言って涙をこぼす。ちょっとした演技のはずだったのに、どんどん気持ちが乗ってきて、本当の気持ちとの境目がわからなくなって、悲劇のヒロインを演じる自分にすっかり酔ってしまった。
「朔、私と結婚しよ。」
「…え。」
「ん?あれ?」
あ、私、言っちゃった!言ってからハッとして、うつむく。一気に現実に引き戻される。
酔いが覚めて、恥ずかしさだけがはっきりと残る。
いくら朔が優しいからって、流石に怒られるかもしれない。早く謝って、取り消さなくちゃ。
それからちゃんと、一緒に住ませて下さい、てお願いするんだ。まだ間に合うかもしれない。
うん、そうしよう。
覚悟を決めて、私はバッ、と顔を上げて朔の目を見る。
「あの、ごめ」
「今、何歳ですか?」
私の声を、朔の声がかき消す。
「…え?」
驚いて声がかすれる。真剣な表情の朔と目があった。
「今、何歳ですか?」
朔は真剣な表情のまま、もう一度聞いてくる。
「う、えっと、人間になったから、」
私は窓ガラスに映った自分の姿をまじまじと見つめる。
ソファーから降りて、毛布をどかしてTシャツの自分を見る。
「15歳、くらい、かな。多分。」
朔を見ると、フムフムとうなづいている。
「誕生日は?」
「12月2日です。」
「そっか、じゃあ、」
そう言って、朔は私を見て言った。
「今年の12月に結婚しましょう。女の人は16歳にならないと結婚できないからね。」
自分で言い出しておいて驚いている私に、朔ははい、とパジャマを渡した。
「お風呂はいっちゃって下さい。もう9時です。」
え、あ、と戸惑っていると、お風呂はキッチンの隣です、と朔がまたフワッと笑う。
朔にその気はないのかもしれないけど、朔のその笑顔は私の緊張を溶かしていく。
「あっ…と、ありがとう!」
泣きそうになった私は、夢中で朔からパジャマをひったくってお風呂に向かったのだった。
また、朔の優しい声で私は目を覚ました。
目を開けた瞬間水滴が降ってきて、
「ひゃっ。」
と首をすくめる。
「ああ、ごめん。まだ髪を乾かしてなくて。」
恐る恐る目を開けて上を見ると、朔は髪から水滴を滴らせてこっちをみていた。
「あ、朔。ありがとう。」
私が慌てて言うと、
「どういたしまして。」
と笑う。色んなことがあって、正直何に対してありがとうをいえば良いのかわからないけど、なんかちょっと満足した。
「星、あ、えっと。」
きっと星屑と言おうとしたのだろう、朔はあからさまに戸惑った顔をした。
私が新しい名前が欲しいって言ったの、覚えててくれたんだ。
嬉しくて、ちょっと期待する。もしかしたら家族になってくれるかも。
「朔、私に新しい名前つけてよ。」
「え、僕がつけて良いんですか。」
朔の目に迷いの色が生まれる。
よし、ここは押してしまえ。
「うん。だって私たち、今日から家族でしょ?」
え、と言って固まった朔に、私はえ、と言い返す。
「私ここしか、居場所がないの。」
そう言うと、朔はあっ、と困った顔をする。
「お願い、朔。」
私はそう言って涙をこぼす。ちょっとした演技のはずだったのに、どんどん気持ちが乗ってきて、本当の気持ちとの境目がわからなくなって、悲劇のヒロインを演じる自分にすっかり酔ってしまった。
「朔、私と結婚しよ。」
「…え。」
「ん?あれ?」
あ、私、言っちゃった!言ってからハッとして、うつむく。一気に現実に引き戻される。
酔いが覚めて、恥ずかしさだけがはっきりと残る。
いくら朔が優しいからって、流石に怒られるかもしれない。早く謝って、取り消さなくちゃ。
それからちゃんと、一緒に住ませて下さい、てお願いするんだ。まだ間に合うかもしれない。
うん、そうしよう。
覚悟を決めて、私はバッ、と顔を上げて朔の目を見る。
「あの、ごめ」
「今、何歳ですか?」
私の声を、朔の声がかき消す。
「…え?」
驚いて声がかすれる。真剣な表情の朔と目があった。
「今、何歳ですか?」
朔は真剣な表情のまま、もう一度聞いてくる。
「う、えっと、人間になったから、」
私は窓ガラスに映った自分の姿をまじまじと見つめる。
ソファーから降りて、毛布をどかしてTシャツの自分を見る。
「15歳、くらい、かな。多分。」
朔を見ると、フムフムとうなづいている。
「誕生日は?」
「12月2日です。」
「そっか、じゃあ、」
そう言って、朔は私を見て言った。
「今年の12月に結婚しましょう。女の人は16歳にならないと結婚できないからね。」
自分で言い出しておいて驚いている私に、朔ははい、とパジャマを渡した。
「お風呂はいっちゃって下さい。もう9時です。」
え、あ、と戸惑っていると、お風呂はキッチンの隣です、と朔がまたフワッと笑う。
朔にその気はないのかもしれないけど、朔のその笑顔は私の緊張を溶かしていく。
「あっ…と、ありがとう!」
泣きそうになった私は、夢中で朔からパジャマをひったくってお風呂に向かったのだった。