流星の彼女に愛の花束を
「ほら、ここに立ってください。」
洗面所に着くと朔は、私の腕を掴んで自分の目の前へと引き寄せた。
「うわわっ。」
私がちょっとよろけると、
「あ、すみません。」
と、手に力を込めて支えてくれる。
正直ドライヤーっていうのは、涼が使ってるのを何度か見ただけで怖いイメージしかなかったけど、こうやって朔と楽しい時間を過ごせるなら我慢するかな、と思えてしまう。
「いいですか、やり方を教えるから覚えておいてください。」
コンセントをさし、ドライヤーの電源を入れようとする朔に、私はえぇー、と声を漏らした。
「毎日朔がやってくれるのかと思った。」
朔は驚いた顔をしたけど、私の短い髪をタオルでわしゃわしゃとふきながら言った。
「じゃあ、一応覚えといてください。」
えぇー?今度は嬉しくて、私はまた声を漏らす。
それは毎日朔が乾かしてくれる、てことで良いんだよね?
朔の顔を見ようと上を向くと、バサッとタオルがかかってきた。
「ほらほら、動かないでくださいよ。」
朔はなんてことないようにそう言ったけど、私は知っている。鏡越しに見た朔の顔は、何とも言えない、て感じの表情をしていた。
あ、照れてる…のかな。
そんな事を考えてにやけていると、鏡越しに朔と目があった。
慌てて目をそらす。見てた事、気づかれたかな…。
「じゃ、電源入れるよ。」
タオルをポイと洗濯カゴに投げ込んで、朔が言う。
あ、良かった。多分気づかれてない。
ふぅー、と息をついた瞬間、顔めがけて熱くて強い風が吹いてきた。
「っ!!」
驚いて少し飛び上がった私を見て、朔が笑う。
「もー朔、ちゃんとやってよね!」
「はいはい、ごめんね。」
今度こそ、私の髪を持ち上げたり、くしゃくしゃってしたりしながら、私の髪を乾かし出す。
犬の時もそうだったけど、人間でもやっぱり人から触られるのは心地いいんだな、と思った。
ドライヤーの風で、首が温かい。パジャマが大きいから首の隙間から風が入って、腕も背中も温かくなる。
ブオオォーていう大きな音も、何故だか自然と耳に馴染んでくる。
ふと顔を上げると、鏡越しにまた朔を見てしまった。
そのままぼうっと見つめていると、朔がふっと笑いながら言った。
「なーに?」
私は驚いて言葉に詰まる。朔は手を止めずに前を向く。鏡越しの私と目が合うと朔は
「2回目。」
と言った。なんかこう、連鎖していく鏡みたいに私の心ものぞいてしまいそうな目。
カアァ、と顔が熱くなる。やっぱりさっきの、目あったの気づいてたんだ。
頰に手を当てると、やっぱり凄く熱い。
動揺を隠すために、私は自分の髪の毛を触って、言ってみる。
「朔、もう髪乾いたんじゃない?」
すると、
「毛先がまだ少し。」
と朔が答える。
細かいなあ、少し笑った後、
「眠い。」
と私が言うと、朔が笑った。
「無茶言わないでよ。」
へへ、ごめん、と目をこする。
「乾かし終わったら、寝ょ。」
あー、なんか力抜けてきた。最後のよ、朔にちゃんと聞こえたかな。
ふわあ、とあくびをする。あ、やばい。本当に眠くなってきた。
まあさっきまで子犬だったし、仕方ないか。子犬は寝るのがお仕事、て誰かが言ってたし。
そう思いながらどんどん視界が狭くなっていく。
ああなんかデジャヴ。まあでも、今は外でも道路の真ん中でもなくて、温かい家の先生の手の中だけ…
ね…。
洗面所に着くと朔は、私の腕を掴んで自分の目の前へと引き寄せた。
「うわわっ。」
私がちょっとよろけると、
「あ、すみません。」
と、手に力を込めて支えてくれる。
正直ドライヤーっていうのは、涼が使ってるのを何度か見ただけで怖いイメージしかなかったけど、こうやって朔と楽しい時間を過ごせるなら我慢するかな、と思えてしまう。
「いいですか、やり方を教えるから覚えておいてください。」
コンセントをさし、ドライヤーの電源を入れようとする朔に、私はえぇー、と声を漏らした。
「毎日朔がやってくれるのかと思った。」
朔は驚いた顔をしたけど、私の短い髪をタオルでわしゃわしゃとふきながら言った。
「じゃあ、一応覚えといてください。」
えぇー?今度は嬉しくて、私はまた声を漏らす。
それは毎日朔が乾かしてくれる、てことで良いんだよね?
朔の顔を見ようと上を向くと、バサッとタオルがかかってきた。
「ほらほら、動かないでくださいよ。」
朔はなんてことないようにそう言ったけど、私は知っている。鏡越しに見た朔の顔は、何とも言えない、て感じの表情をしていた。
あ、照れてる…のかな。
そんな事を考えてにやけていると、鏡越しに朔と目があった。
慌てて目をそらす。見てた事、気づかれたかな…。
「じゃ、電源入れるよ。」
タオルをポイと洗濯カゴに投げ込んで、朔が言う。
あ、良かった。多分気づかれてない。
ふぅー、と息をついた瞬間、顔めがけて熱くて強い風が吹いてきた。
「っ!!」
驚いて少し飛び上がった私を見て、朔が笑う。
「もー朔、ちゃんとやってよね!」
「はいはい、ごめんね。」
今度こそ、私の髪を持ち上げたり、くしゃくしゃってしたりしながら、私の髪を乾かし出す。
犬の時もそうだったけど、人間でもやっぱり人から触られるのは心地いいんだな、と思った。
ドライヤーの風で、首が温かい。パジャマが大きいから首の隙間から風が入って、腕も背中も温かくなる。
ブオオォーていう大きな音も、何故だか自然と耳に馴染んでくる。
ふと顔を上げると、鏡越しにまた朔を見てしまった。
そのままぼうっと見つめていると、朔がふっと笑いながら言った。
「なーに?」
私は驚いて言葉に詰まる。朔は手を止めずに前を向く。鏡越しの私と目が合うと朔は
「2回目。」
と言った。なんかこう、連鎖していく鏡みたいに私の心ものぞいてしまいそうな目。
カアァ、と顔が熱くなる。やっぱりさっきの、目あったの気づいてたんだ。
頰に手を当てると、やっぱり凄く熱い。
動揺を隠すために、私は自分の髪の毛を触って、言ってみる。
「朔、もう髪乾いたんじゃない?」
すると、
「毛先がまだ少し。」
と朔が答える。
細かいなあ、少し笑った後、
「眠い。」
と私が言うと、朔が笑った。
「無茶言わないでよ。」
へへ、ごめん、と目をこする。
「乾かし終わったら、寝ょ。」
あー、なんか力抜けてきた。最後のよ、朔にちゃんと聞こえたかな。
ふわあ、とあくびをする。あ、やばい。本当に眠くなってきた。
まあさっきまで子犬だったし、仕方ないか。子犬は寝るのがお仕事、て誰かが言ってたし。
そう思いながらどんどん視界が狭くなっていく。
ああなんかデジャヴ。まあでも、今は外でも道路の真ん中でもなくて、温かい家の先生の手の中だけ…
ね…。