お嬢様は恋を知らない
「えー、七瀬さんって彼氏いないんだ」

「なんか意外!」

「好きな人もいないの?」

「いないよ」

友達とこういう話してみたかったんだよね!
だって、私の周りの人たちはみんな結婚相手が決まっていたから、“恋バナ”なんてしたことなかったもん!


楽しい時間はあっという間に過ぎて、解散になった。

「またね!」

「バイバーイ!」

途中まで友達と一緒に帰って、ここからは一人。

こんなに道が暗いなんて知らなかった。


「キミ、一人?」

背後から声をかけられて振り返ると、男の人が3人、私を見ていた。

「俺たちと遊ぼうよ」

じりじりと私との距離を縮めてくる。

怖くて足が震える。逃げ出したいのに体が言うことを聞かない。

「…っ!!」

強い力で手首を掴まれた。

必死に抵抗するけど、男の人の力に勝てるはずもなく……

「麗さま…」

震える声で彼の名前を呼ぶことしかできない。

「れ、い…」

このままだと、私は……
< 4 / 8 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop