死にたい女
生まれた我が子を、この手に抱きとめることも許されない。
すぐに離され、例の薬を投与される。
そうして赤子はもう、「自分の子」では無くなるのだ。
今より進んだ未来、過去に溢れ返った人間は、今ではもうほとんど居ない。
人類存続の危機なのだ。
技術ばかりが上を行き、ウイルステロや人体実験の失敗、核爆発に全面戦争…、我々は、多くの命を失った。
もはや、60億の人類が生存していたときの10分の1程度になってしまったのだ。
地球温暖化による氷の溶け、それがもたらす海面上昇による、陸の狭小化。
小さな島国は、ほとんど無くなってしまった。
そんな壊滅的状況を打破するべく、政府は考えた。
考えついた結果がこれだ。