死にたい女
死ねない女
「死にたい…。」
好きでこんな体に生まれた訳じゃないのに…。
「死にたい…。」
死にそうな程、身も心もボロボロなのに…。
「死にたい…。」
母の元へ逝きたい…。
「死にたい…。」
不老不死と言われた母が死ねたのだから、私だって…。
「死にたい…。」
「もう聞き飽きたよ、その言葉は。」
白衣を纏った男が、先程生まれた赤子を透明のカプセルに入れ、ボタンを押すと、赤子は一瞬にして消えてしまった。
その光景も、もう何度見ただろう。
その子が何人目の子どもなのかも、自分が何歳なのかも、ここに来てどれくらいの月日が経ったのかも、もはや分からなかった。
「死にたい」と口にした数も、死のうとした数も数え切れない。
自分は、「死にたい」と口にしながら、新しい命を生んでいるのだ。