叶わなくてもいいから、恋したい。
「よお、ごめんな。」

何にも知らない人はいいよね。

「それで何?」

「特に用事はないんだけど、会いたくなっちゃって。」

佐川もそう思ってくれたんだ。

私も会いたかったよ。

そう言おうとすると電話が鳴った。

佐川のスマホのようだった。

「あ、もしもし。」

誰からだろう。

「楽しかったよな。」

日野さんか。

「ん、じゃあ。」

どうやら話し終わったらしい。

「今のって日野さん?」

「ああ。」

やっぱりそうなんだ。

「そ、じゃあね。」

「おい、待てって。」

腕を掴まれたが振り払った。
< 200 / 313 >

この作品をシェア

pagetop