叶わなくてもいいから、恋したい。
お母さんに言わないといけないな。

まだ、自分のお母さんに言ってない。

というか、言えない。

この前連れてきた彼氏が婚約者です、なんて言えない。

今の時代、なかなか無いことだし。

お母さんやお父さんはどう思うかってことも考えないとね。

そんなこと考えてたら言えてなかった。

ピーンポーン

ある日の夕方、突然の来客は来た。

「夜分にすみません。僕、佐川翔輝と申します。」

いつもは「俺」と言う翔輝が「僕」と言っていた。

制服を着て、手土産を持っていた。

しかも敬語。

違和感しか感じなかった。
< 266 / 313 >

この作品をシェア

pagetop