叶わなくてもいいから、恋したい。
部屋のドアを閉めるなり、翔輝に向かって言った。

「これどういうこと?説明して。」

「ごめん、何の連絡もなしに。でも、言うなら今日しかないなって。」

わざわざ私の家に来て言うってことは私が翔輝の婚約者ってことを親に伝えるんだよね。

「でも、なんで今日?」

ただ、なにもない普通の日なのに。

「お前、絶対言わないだろ?だから、俺が言うしかないと思ったの!まあ、それを思いたったのが今日だったんだよ。」

私のこと、分かってくれてて来てくれたの?

「翔輝の言う通り言えてないよ。というか、言えなかった。だから、丁度いいかな。ありがとね。」

私の自慢の彼氏だな。

「りかー、佐川くんー。お父さん、帰って来たよ。」

お母さんが一階でそう叫んだ。

「はーい。」
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