叶わなくてもいいから、恋したい。
にしても、佐川の家でかくない?

広すぎてどこにあるか分かんないんだけど。

二階の奥に部屋5個あるし。どれ?

迷っていると、ひかりちゃんがこっちに来た。

「ここ。」

「ありがとう。」

「りかにだけ教えたげる。お兄ちゃんが女の子連れてきたの初めてなんだよ。」

え?

そうなんだ。私が初めて。。。。

そっか、そうなんだ!

浮かれた気分で佐川の部屋に入ると、物が少なく片付いていた。

小さなテーブルがあるところに座って待っていることにした。

佐川の机に写真があるのに気がついた。

誰だろう。この女子。

佐川と楽しそうに写ってるな。

ちくっ。

あれ、まただ。

ホントになんなの?

ガチャ。

「おまたせ……っ!」

とっさに隠したのに佐川に見つかってしまったようだった。

「後ろに持ってるの何?」

「佐川と……女子の……写真………」

佐川に渡すと思い詰めたように黙ってしまった。

「佐川?」

「悪い。さ、始めよ。」

その写真のことは教えてくれないんだ。

「うん。」

私たちは勉強を始めた。

ゆっくりと時間は過ぎて行った。

質問することもなければ、雑談もしなかった。

少しぐらい話したいな、なんて。

ふと、顔をあげてみると佐川と目があった。

孤独な目をしていた。

ねえ、一体何があったの?

私で良ければ教えてよ。

そう訴えかけるように佐川を見つめた。

この時間は忘れられないぐらい長かった。

でも、だんだん恥ずかしくなってきて顔が赤くなった。

すると、佐川の顔も赤くなっていった。

「おい、目ぇそらせよ。」

「佐川こそ。」

そのあとは爆笑した。

笑って、笑いまくった。

「あ、時間。帰る準備しろよ。送ってく。」

「はーい!」
< 45 / 313 >

この作品をシェア

pagetop