叶わなくてもいいから、恋したい。
「お前、どうした。正直に吐け。」

清汰にはお見通しか。

そう思うと泣いてしまった。

「うっ……ううっ……」

「りか?」

「うぅ………うぅっ………」

頭をそっと撫でてくれた。

「よしよし。思いっきり泣け。よく頑張ったからな。」

清汰の手はあったかい。

お母さんに似た手。

何も聞かず、ただ頭を撫でてくれるだけ。

やっぱり、優しい。

チャイムが鳴ってもずっと、静かにそっと。
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