敵国騎士と命懸けの恋
喉元にあてられた刃。
剣を握る貴方の瞳に一切の迷いがなく、真っ直ぐなその目が好きだ。
「ありがとう」
最後に、笑ってみせる。
涙など見せるものか。
死ぬことは本望ではないけれど、短い人生で貴方に出逢えただけでもう満足だ。
貴方以外、なにもいらないと思う程に、
ーー恋をした。
「…次、生まれ変われるのであれば、あなたと同じ国に生まれたい」
「……」
眉ひとつ動かさない貴方は冷静だから、その一振りで私の息の根を確実に止めてくれるだろう。
痛いのは嫌だから、一瞬で終わらせてね。
口を結んだまま、彼は剣を振り上げた。
サヨナラすら言ってくれないところが貴方らしいね。
苦しむ顔を見せたくないけれど最後の瞬間まで貴方を見ていたくて、目を開いたままでいた私にーー
最愛の騎士が、
微笑んだ気がしたーー
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