敵国騎士と命懸けの恋
すぐさま国王は私から退き、ブーツの音を響かせて颯真の方に歩いていく。
「待って。その人は関係ないの!」
行為の邪魔をしたと、颯真が斬られるかもしれない。
慌てて飛び起きて、国王のマントを掴む。
どこにそんな力が残っていたのだろう。
しかし国王は強い力で私の腕を振り払い、
勢いよくカーテンを引いた。
開かれたカーテンから覗いたベッドの上で上半身を起こしていた男は、
特に反応するわけでもなく窓の外を見ていた。
毛先を弄ばせた黒髪に、日に焼けた肌。右肩に包帯を巻いてる。
上着は身につけておらず、鍛えぬかれた身体が露わになっていた。ところどころ治りかけの切り傷がある。
その男らしい姿に、目を奪われた。