敵国騎士と命懸けの恋
「私の妻になれ」
「嫌です」
「私に抱かれ、子を産め」
「もっと嫌です」
「…それなら、死ね」
「……」
美しく上品な王。
冷たいその目に宿る殺意に身震いする。
きっと、私は、助からない。
「1週間も意識が戻らなかったことに免じて、考える時間を与えよう」
たくさんの騎士を従えた国王はベッドに座る私を見下げて、綺麗な笑顔を見せた。
「君の身体を思って、温かい寝床と食事を提供しよう。私は、例え敵国の姫君であっても優しさを忘れない立派な王だからね」
「……」
「怯えた顔も可愛いよ。また来るね」
優雅な動きで病室から立ち去った国王を見送り、扉が閉まった音を聞いた途端、全身の力が抜けた。
私は今、敵国に居る。