敵国騎士と命懸けの恋
1週間意識が戻らなかったと憎き国王は言っていた。
頭が重く、身体中が痛い。
不幸中の幸いか私は生きて、敵国に辿り着いた。
国王の温情により、命を救われ、ベッドの上で治療を施されたようだ。
「死にたくない…」
死ぬもんか、絶対に。
いっそ逃げてしまおうと、部屋の様子を伺う。
いくつかのベッドは空いていて、唯一、カーテンで仕切られた窓際のベッドに人の気配がした。
「…あの、誰かいますか」
「……」
ここは病室のようだし、具合の悪い誰かが眠っているのだろう。
「騒がしくしてごめんなさい」
体調の悪い人がいる部屋で、よくもまぁあの国王は酷いことを並べたものだ。
結婚とか、子供を産むとか。
ホント、馬鹿みたい。