敵国騎士と命懸けの恋
ベッドサイドに置かれた履物を履いて、立ち上がる。
ふらつくが、命の危機が迫っている今、逃げ出す他ない。この状態では、私が逃げることを想定していないはずだ。
相手が油断しているうちにーー
「ドアの前に2人」
え?
閉ざされたカーテンから静かな声がした。
男性の低い声だ。
「窓の外に2人」
「…私を見張っているということでしょうか」
立ちくらみがして、再びベッドに腰を下ろす。
気持ち悪い…。
「忠告をしてくれて、ありがとうございます」
少なくとも2人の見張りと対峙するだけの体力はない。