別れても好きなひと
ちょうど同じ頃大悟は美容師の業界で頭角を表し注目され始めていた。大手の会社がスポンサーに名乗りをあげ海外への留学の話がでていた。留学しながらファッションショーや美容の最先端の現場で力を試せる絶好のチャンスだった。

でも私が見たのは将来への希望に前を向く大悟じゃなく、失った命への大きな悲しみと私たち家族への心配で悩む肩を落とした大悟だった。

大好きな大悟の笑顔が悲しそうにしか見えなかった。

そんな顔を大悟にはさせたくないのに…。

だから私は決意した。


この手を離し大悟を送り出すことを…
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