別れても好きなひと
次の日から大悟はスタイリストとして正式に指名も受けはじめた。雑誌でも名前が売れている大悟はすぐに3ヶ月先まで予約でうまった。

接客しているときに隣の席で大悟がカットしたり、隣同士のシャンプー台でシャンプーしているときに体の一部が触れる度にどきどきする気持ちを落ち着かせるのに必死だった。

『ガシャンッ!』

賑やかだった店内が私のたてた音で静まり返った。

すぐに『失礼しました』と言うと集まった視線が再びばらばらになった。でもひとりだけ鋭い視線を送る人がいる。大悟だ。
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