別れても好きなひと
私は公園のベンチから立ち上がり心の中でまた来るねと赤ちゃんにつたえた。

すっかり冷えた体を温めようと自販機で温かいお茶を買っているとふとさっきまで自分が座っていたベンチに別の人が座っているのが見えた。

その人を見間違えることはない。

大悟だった。

大悟はベンチに座り滑り台をぼーっと見つめている。

私は心のなかで赤ちゃんに話しかけた。

「パパがきてくれたよ」と。
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