別れても好きなひと
しぶしぶ助手席に乗り込むとすでに運転席に乗っていた大悟が助手席のエアコンを調整していた。

…そういうことね。

私が寒がっていたから後部座席じゃなく助手席の方がエアコンで冷えないと思ったらしい。よく気がつく…。

でも怖くて渚を見られなかった。この複雑な想いと、状況に2泊3日は長いなぁとしみじみ思った。

大悟はそんな私の気持ちも知らずなかなか体があたたまらない私に自分のシャツをかける。


これで断って助手席でさわげば余計に渚に見られる。

私は小さな声で「ありがとう」と言った。
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