別れても好きなひと
「杉崎さん。」

次の日、吉川さんが私の店舗にヘルプで来た。私が勤務する美容室は国内に12店舗、ニューヨークとパリに1店舗ずつ系列店を展開している。研修やシフト上の都合で近くの店舗からヘルプとしてスタッフが来るのは日常的だった。

「先日はお世話になりました。」

「いや、大したことないよ。それより大丈夫?警察に相談したら?」

まずい…ふと隣を見ると大悟がこっちに鋭い視線を向けている。これ以上聞かれたくない。

「大丈夫です。ご心配おかけしました。」
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