別れても好きなひと
「ごめんなさい。」

私は飲み屋の廊下にあるベンチに横になっていた。

大悟に介抱されながらひとしきり吐いたあとだ。

「お前なぁ、焦っただろう。」
「ごめんなさい。」
「まぁ、もっとはやくフォローすればよかったよ。」

その言葉にはっと吉川さんを思い出す。

「吉川さんは!?」
「吉川さんなら帰ったよ。明日研修らしい。」
「悪いことしちゃった。」
「……」

大悟の微妙な反応にしまったと話を止める。
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