別れても好きなひと
「名前言えますか?今症状はどうですか?」
救急隊の人に質問されながら私が答えるのに時間がかかるものは大悟が答えていく。

「駅構内に階段があるので担架より歩ければと思うんですけど、難しければ車椅子で移動しましょう。」
私は隊員に体を起こされた。一瞬ビクッと体が緊張する。

まだやっぱり男の人に触れられるのは苦手だ。

「すみません。彼女、男性が苦手なんで私が支えてもいいですか?」
大悟の申し出に救急隊員が一歩下がった。

私は大悟にがっしりと腰を支えられながら歩き始めた。それでもくらくらとして辺りは白んで見える。ふらつく足取りを感じた大悟は私を不意におんぶした。
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