別れても好きなひと
もうすぐセットも仕上がる頃大悟が話しはじめた。

「俺、莉子にもう1度向き合うために帰って来た。ニューヨークから。」
「うん。」
「莉子が3年前にあぁして俺の背中を押してくれなかったら、俺は中途半端なままだったと思う。ありがとう。」
「うん。」
「俺、頑張ったよ。必死に。がむしゃらに。」
「うん。」
「次は莉子の番。」
「……。」
私は泣かないように大悟の鏡越しの視線を感じながらも大悟の髪から目を離さなかった。

「莉子が前に進む番なんだよな。ごめんな。俺が戻ったせいで、こんなことになって。結局莉子のためと思ったのに、俺が莉子に会いたかっただけだったのかもしれない。」
「……」
そんなことあるはずないじゃない。。。
「俺、よく夢を見るんだ。小さな女の子の夢。すっごいかわいくてさぁ。いつもきらっきらの笑顔で…泣き顔なんて見たことないんだ。」
私もこの前見たよ。小さな女の子の夢。思わず大悟を見ると大悟と目が合う。
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