別れても好きなひと
「莉子っ!」
その声に私の体が待っていましたとばかりに振り向く。

そこには肩で息をする大悟がいた。

「どうしたの?」
「はぁっはぁっ」
大悟の呼吸が整うのを少し待つと大悟は私をまっすぐに見た。
「送る。」
「え?」
送るって…車は?店にもどって車で帰るなら、このまま歩いて帰った方が早い。それは大悟も知ってるはず。それでも追いかけてきた大悟の気持ちを察して私は大悟の手を引いた。
「ごはん!おごってね。」
と、いつかの定食屋さんに向かった。
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