別れても好きなひと
当たり前のようにおしんこを私のお盆へのせる大悟。私も煮魚を半分大悟の皿にのせる。

「ビールください」
「え?」
「一緒に飲も。明日休みでしょ?」
私の言葉に大悟は顔をくしゃくしゃにして笑った。
「おう。今日は飲もう!」

大悟はお酒に強いのに、今日は疲れているのか珍しく酔いがまわるのが早かった。

北澤さんのこと。店のこと。美容師としての自分のこと。夜中もうるさいお隣さんのこと。ゴミ捨て場で会うねこがかわいいこと。

大悟がどんなことでも話してくれるのが私は嬉しかった。
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