別れても好きなひと
「ずっとやりたかったんだ。」
大悟は店舗の中のディスプレイを変えたかったらしい。昔からそういうところはセンスがある。

「ほら。」
私は大悟から軍手を渡されいつの間にか一緒に夢中になってディスプレイしていた。

「こういうのしてるとさ、やっぱり莉子はしっくりくるんだよなぁ。」
「私もそう思う。」
「昨日からやけに素直だな。」
「……。」
「黙るなよ。やっと言葉飲み込まないで言ってくれて嬉しいんだからさ。」
やっぱり大悟にはいろんなことがお見通しだった。そんな私を待っていてくれたことに愛しさが込み上げた。
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