別れても好きなひと
次の日、大悟は捻挫している私を職場まで送ってくれた。
「なんか顔色悪くないか?夕べの話で眠れなかったんだろう。」
図星…。
「そう深く考えるな。帰り迎えに来るから、終わったら連絡して。」
「ありがとう。いってきます。」
「いってらっしゃい。いってきます。」
「いってらっしゃい。」
大悟を見送りながらこんな毎日が送れたら幸せだろうなと思った。一緒に暮らすことを前向きに考えようと思いながら店内に入ると
「杉崎さん、今朝の人って倉科さんですか?」
と後輩に話しかけられた。
「うん。」
「えっ付き合ってるんですか?」
「う~ん。。」
返事を曖昧に返すと後輩はなにかを悟ったかのように頷いた。
「でも倉科さんすごいですよね。今度はパリからオファー来てるんですよね~。」
「え?」
「ニューヨークで一緒にショーをやったデザイナーさんがパリに進出するらしいんですけど、倉科さんに熱烈なオファーをしてるみたいですよ。」
「…そうなんだ。」
ついさっきまで大悟と一緒にまた歩み始めようと思っていた私の心が大きく揺れた。
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