別れても好きなひと
「おかえり。」
私が仕事を終えると大悟が待っていた。
「なんで?」
「莉子は絶対に遠慮して連絡よこさないと思ったから、先手をうった。」
無邪気に笑う大悟をみるのが今は辛い。

私がうまく反応できないでいると「お疲れ様。乗って。」と大悟が車から降りて助手席のドアを開けた。

私が乗り込もうとすると「具合悪そうだな。」と後部座席からブランケットを出し私にかけてくれた。

優しさが今は辛い。でもこんなときだからこそ優しさに甘えて流されてしまいたい。複雑な想いでいると「今夜は大悟スペシャルオムライスだな。」と元気のない私に大悟は気を使って明るく振る舞ってくる。

大悟は私の部屋に帰ってからも明るかった。私のために夕飯を作り、片付けをし、私のメイクまで落としてくれた。

「どうした?なんかあった?ゆうべの話がそんなに莉子を悩ませたか?」
あまりにも私の様子がぎこちないからか大悟が不安そうな顔をする。
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