別れても好きなひと
私が父の幸せを奪ったの?
あの人とうまくいかなかったのは私のせい?
私がもっと歩み寄ればよかった?
でもお母さんの想いは?

「莉子」
朝食を作りながら考えが止まらなくなっていた私を寝起きの大悟が後ろから抱き締める。
「おはよう」
「おはよう」
大悟はまだ眠そうだった。

「ごめんな、こんなときでも仕事で。」
「うんん。こっちこそ。忙しいのにごめんね。」
「なるべく早く帰る。告別式の日は休みとったから。」
「ありがとう。」
私が焼きたての卵焼きを大悟の口にいれると
「やっぱりこれだな。」
と大悟は微笑んだ。
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