別れても好きなひと
私の言葉に彼女は一瞬目線をはずしてから話はじめた。

「彼がいかない理由も、彼が日本に戻った理由もあなただからです。」

その言葉に私は薄々気づいていた事実なのにやっぱりぐっときた。

「彼とは4年くらい前、ニューヨークで知り合いました。がむしゃらに技術をあげていく姿に私は惹かれました。輝いてました。私も小さなショーに参加できるようになって、英語が苦手だったこともあって彼をスタッフとして誘いました。」

惹かれました…。

「でも一緒にやっていくと彼のがむしゃらな姿に時々胸が苦しくなりました。なんだか自分を責めるように仕事をしていて…。」

私の知らない大悟のニューヨークでの3年間をはじめて知る。
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