別れても好きなひと
「…これ…。」

私はすぐにわかった。保とうとしていた表情が崩れて涙が溢れ出す。

「これっ。」
「うん。」

チェーンについていたのは忘れもしない。私たちの結婚指輪。私の指輪は四年前に大悟に返していた。その指輪と大悟の指輪がひとつのチェーンにかかっている。

「願掛けで置いていったんだ。前に。それまではずっと肌身離さずに持ってた。ニューヨークにいるときも毎日。莉子に再会した日も。」

いつの日か聞いた話を思い出した。大悟がしているペアのネックレスの話を。
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